岐阜県飛騨医療圏に位置する高山市の人口は、2020年国勢調査で84,419人です。
この数値は、2015年の89,182人と比較すると、2015〜2020年の人口増減率がマイナス5.34%となっており、全国平均のマイナス0.75%と比べても人口の減少率が大きいことが分かります。
また、65歳以上の高齢化率は33.40%で、全国平均の28.60%と比べると約5ポイント高い水準にあります。
この状況は、全国平均よりも人口減少と高齢化がともに進行している地域であることを示しています。
人口密度は2020年時点で38.80人/km²となっており、全国平均の338.30人/km²を大きく下回っています。
山間地域や人口の少ない集落を多く抱えていることから、限られた医療資源を効率的に配置しながら、市内全域へ安定した医療サービスを提供する体制の維持が重要な課題となっています。
次に高山市内の医療機関数をチェックしてみると、一般診療所は61施設で、人口10万人あたり72.26件となっており、全国平均の70.32件をわずかに上回る水準です。
診療科別では、内科系診療所が50施設、人口10万人あたり59.23件で、全国平均の45.50件を上回っています。
また、外科系診療所は24施設、人口10万人あたり28.43件で全国平均の19.15件を上回り、小児科系診療所も19施設、人口10万人あたり22.51件で全国平均の16.10件を上回っています。
複数の診療科を標榜する診療所が重複して集計されている点には留意が必要ですが、人口当たりで見ると、内科、外科、小児科の一次医療に対応する診療所は比較的確保されていることがうかがえます。
一方、産婦人科系診療所は2施設で、人口10万人あたり2.37件となっており、全国平均の3.72件を下回っています。
皮膚科系診療所は6施設、人口10万人あたり7.11件で全国平均の10.26件を下回り、眼科系診療所は3施設、人口10万人あたり3.55件で全国平均の6.33件を下回っています。
耳鼻咽喉科系診療所も3施設、人口10万人あたり3.55件で全国平均の4.51件を下回っています。
また、精神科系診療所は3施設、人口10万人あたり3.55件で、全国平均の6.18件を下回っています。
そのため、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、精神科などの専門性の高い医療については、市内の基幹病院や飛騨医療圏内の医療機関との連携が重要な役割を担っていると考えられます。
また、高山市内には病院が3施設あります。
具体的には、日本赤十字社高山赤十字病院(375病床)、岐阜県厚生農業協同組合連合会飛騨医療センター久美愛厚生病院(300病床)、特定医療法人生仁会須田病院(261病床)が立地しています。
これらの病院は、高山市内に加えて、飛騨市、下呂市、白川村を含む飛騨医療圏の広域的な医療需要に対応する主要な医療拠点として機能しています。
病院数は人口10万人あたり3.55施設となっており、全国平均の6.31施設を下回る水準です。
病院病床の全区分計は936床で、人口10万人あたり病床数は1,108.76床となっており、全国平均の1,143.22床をやや下回っています。
病床の内訳を見ると、一般病床は606床で、人口10万人あたり717.85床となっており、全国平均の683.77床を上回っています。
精神病床は261床で、人口10万人あたり309.17床となっており、全国平均の245.64床を上回っています。
一方、療養病床は57床で、人口10万人あたり67.52床となっており、全国平均の208.01床を大きく下回っています。
また、結核・感染症病床は12床で、人口10万人あたり14.22床となっており、全国平均の3.95床を上回っています。
次に、医療従事者の状況についてみると、高山市内の常勤医師数は212.00名で、人口10万人あたり251.13人となっており、全国平均の256.98人と比較すると約5人少ない水準です。
全国平均との差は比較的小さいものの、高山市は市域が非常に広く、医療機関への移動に時間を要する山間地域も多いことから、人口当たりの医師数だけでは地域内の医療アクセスの課題を十分に評価できない面があります。
このことから、高山市では医師数は全国平均に近い水準にあるものの、広大な市域に点在する住民へ医療を提供するためには、中心市街地の病院や診療所だけでなく、地域の診療所、訪問診療、訪問看護、訪問薬局などを結び付けた体制が必要です。
医療従事者の安定的な確保に加え、巡回診療やオンライン診療、ICTを活用した医療機関相互の情報共有などを進めることも求められるでしょう。
将来の人口推計を見ると、高山市の高齢者人口は2020年の28,162人から2025年には27,762人、2030年には27,153人となり、2040年にも26,607人と比較的高い水準で推移した後、2050年には24,667人まで緩やかに減少すると予測されています。
このため、高齢者医療や介護サービスに対する需要は今後も長期にわたり高い水準で推移すると考えられます。
また、2020年を100とした医療需要予測指数を見ると、2025年には約99、2030年には約96、2035年には約91、2040年には約87、2045年には約83、2050年には約80へと段階的に低下すると見込まれます。
一方、介護需要予測指数は2025年に約110、2030年にも約110と高い水準まで上昇し、2035年には約106、2040年には約102、2045年には約99となった後、2050年には約101になると推計されます。
人口減少に伴って医療需要全体は徐々に縮小する一方、後期高齢者人口の増加を背景として、介護需要は2030年頃まで現在より約1割高い水準で推移し、その後もおおむね2020年と同程度の需要が続くことが示されています。(年齢階層別人口に所定の係数を掛け合わせ、2020年を100として医療・介護需要を指数化しています)
これらの推計データより、高山市では今後、人口減少によって医療需要全体が徐々に縮小していく一方、後期高齢者人口は長期にわたり高い水準を維持し、介護需要も2030年頃にかけて現在を上回る状態が続くことが予測されます。
こうした状況から、高山市は人口減少と高齢化が全国平均以上のペースで進行している一方、高山赤十字病院、飛騨医療センター久美愛厚生病院、須田病院を中心として、飛騨医療圏全体の医療を支える重要な拠点としての役割を担っています。