厚労省「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば、平成22年の女性医師割合は約18%と平成8年の13%と比べて年々増加傾向です。
このように女性医師が増加する流れは今後も継続します。それは、医師国家資格取得者の女性比率が3割を超えている事実から容易に想像できます。そんな中、女性医師がライフイベントの中で輝きながら働き続けられる仕組みづくりに注目が集まっています。
具体的には、女性医師の休職・離職理由の大半が「出産」や「子育て」であることから、
(1)産休取得率の向上
(2)産休中の身分・給与保証
(3)育児休業取得率の向上
(4)育児休業中の身分・給与保証
(5)保育・託児所施設の設置
などが注力されがちです。
もちろん、これらの制度が整うことによって女性医師が安心して出産・子育てできるようになることは言うまでもありません。
しかし、出産や子育て支援に隠れてしまうもうひとつの問題が「女性医師の妊活事情」ではないでしょうか。
妊活とは、妊娠をするための活動として最近使われ始めた言葉です。
働く女性率が高まる昨今、女性医師の中にも子供を作りたい時期と仕事が面白くなる時期が重なり、どうしてもキャリアを優先してしまうという方も多いのではないでしょうか。
結果的に、妊活が高年齢化し、いざ妊娠を望んだ時に思ったより時間がかかってしまう女性医師も多いと聞きます。
しかし、女性医師の妊活問題が表立って出て来ないのは不妊等に対する周囲の理解の無さからくるのではないでしょうか。
ここでは、女性医師の妊娠問題について先輩女性医師の事例をご紹介します。事例をご紹介することで、妊娠と仕事で揺れ動く女性医師の胸の内を垣間見ることができます。
ある女性医師が妊活のために下した決断
女性医師も、勤務先では一人の医師。女性か男性かというのは患者にとって関係がありません。私自身、働いていた病院では「医師に性別はない」という考えの元、様々な仕事を任されやりがいをもって働いていました。 自分自身、一人前の医師になるためにまだまだ経験も知識も足りないことは認識していたので、とにかく働きづめの毎日でした。
そんな私に転機が訪れたのは、夫婦ともに30代半ばにさしかかったころです。そろそろ子供がほしいという話が出るものの、出産した後に、今と同じ生活ができなくなることへの不安からか、なかなか妊活に踏み切れない自分がいました。しかし、夫に「仕事は40代になってもできる」という言葉に背中を押されて妊活をスタート。すぐに子供ができると思っていた私たちは、それが大きな間違いであることに気づきます。夜勤もある不規則な生活、ハードな仕事内容、ミスが許されないプレッシャーに慣れていると思っていましたが、実際には大きなストレスとなっていました。年齢のこともあり、不妊クリニックに通い始めると、薬の副作用で通常の仕事をこなすことが難しい日も。逆に、今日は妊活のために病院に行かなければいけない日とわかっていても、オンコール対応で妊活することもできず、悶々とした時間が過ぎて行きました。
このままでは子供をつくれないと判断した私は、夜勤や残業のない職場へ移ることを決意。出産や子育てに理解のある病院を紹介してもらい、やっと妊娠することができました。
妊娠・出産を望む女性医師に一言
妊活中の女性医師は、妊娠している・子育てしている女性医師と違って周囲の理解が得られづらいと思います。そんな中、妊活をしていること、そのために仕事できる時間が限られてしまうことなどを今の職場に伝えるのはとても勇気がいります。でも、遠慮をして自分の人生において大切な決断を先延ばしにして機会損失してしまわないよう、妊活中の女性医師の皆さんには考える時間を持ってほしいですね。探せば環境は整いますので、あきらめずに職場の先輩や友人に相談されてみてはいかがでしょうか。
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