日本の医師不足を解消する？医療クラークの魅力とは

医師は人の命を救い、他人から尊敬され、収入も高い憧れの職業といわれていますが、なぜそれでも医師不足が叫ばれているのでしょうか。

経済協力開発機構（OECD）の行った調査によれば、日本の人口10万人あたりに対する医師数は206人と世界30カ国の平均290人と比べて少なくなっており、
また世界平均と比べると10万人もの医師が不足しているといわれています。

しかし医師が不足していても、患者は待ってはくれません。
日本では深刻な高齢化社会が進んでいるために治療を待つ患者さんは後を絶たず、そのため医師は少ない人数をカバーするために過剰な仕事量をこなしているのが現状です。
医師の仕事の中でも特に時間がかかってしまうのが、診断書の作成などの事務作業です。

この負担をなるべく減らし、医師が自分の仕事に専念できるようにと、今日本では「医療クラーク」の導入が進められています。

「医療クラーク」とは医師の事務作業をサポートする「医師事務作業補助者」の別称で、医療秘書ともメディカルアシスタントとも呼ばれます。

医療クラークは以下に挙げるような業務を、医師に代わって行っています。
診断書や紹介状などの文書作成
電子カルテなどの診療記録の入力
処方せんの作成
検査の予約の段取り
がん登録や外科手術の症例登録、カンファレンスの準備
厚生労働省などに報告する診療データの整理

医療クラークには特定の資格も学歴も必要なく、残業や休日出勤も少ないことから、ワーキングマザーからの人気を集めている職業です。

2008年から医療クラークの配置が病院での診療報酬請求の対象となったので、今後もどんどん医療クラークの導入が進んでいくことが予想されています。

医療クラークはまだ日本では馴染みがありませんが、アメリカやイギリスなどでは1920年代頃から医療現場を支え続けている、実績のある職種です。
医師は医療クラークがいることで、煩雑な事務仕事に気を取られることなく、ゆっくりと患者さんと向き合い、心に余裕を持って命を救う繊細な作業に専念することができます。

この数年で社会問題となっている医師不足を解消することは、医師を過酷な勤務から救うだけでなく、救急患者のたらい回しを防いだり、診察待ちの時間を短縮するなど、患者側にとってもメリットのあることです。

医師とは違う視点を持った医療クラークが患者さんやその家族との間にクッションのように入ることで、医療現場の空気の流れが良くなり、治療がスムーズに進むというメリットも日本で徐々に表れつつあります。

「医療現場の質の向上」に貢献するチーム医療の一員として「医療クラーク」に注目をしてみてはいかがでしょうか。