定年退職した医師を積極的に採用する病院が増えています。
一昔前の定年といえば60歳でしたが、年金支給の受給開始年齢が65歳に引き上げられたことを背景に、定年を65歳にあげるという措置がこうじられています。このような制度の下支えもあり「定年退職してもまだまだ働きたい」という意欲の高い医師の声が最近増加傾向にあります。健康で働き続けたい定年退職後の医師が医療現場で活躍することは、医師不足かつ超高齢化社会である日本にとって歓迎すべきことです。そんな中、定年後の医師活躍に着目した医療機関や地方自治体が増えているのをご存じでしょうか。
例えば、北海道地域医療振興財団では、平成16年以降に定年退職した勤務医などを中心に「熟練ドクターバンク」を設立しています。熟練ドクターバンクでは、当直といった短期的・スポット的な勤務を斡旋され、直近では28医療機関への勤務を実績として残しています。また、熊本県でも定年退職をされた医師を対象に県内の公立医療機関(病院:15施設・クリニック:2施設)へ紹介しています。また山形県では、定年退職後の医師に対して県内の医師不足で困窮している公的病院を紹介するだけでなく、「総合医療を研修する機会」といった研修・教育の場も提供しています。定年退職した医師を積極的に採用することによって成功事例が増えれば、他の自治体や団体からも「定年後の医師に活躍してほしい」という動きが広がるのも時間の問題です。
このような流れもあり、今後は定年退職後の医師を積極的に募集する求人数も増加するでしょう。しかし現状ではこのような求人が探しづらいのも事実です。そこで、次の章では「定年退職後の医師を積極的に採用している病院の特徴」についてご紹介したいと思います。
定年後の医師を積極採用する医療機関の特徴は大きく3つあります。
1つは働く場所、2つ目は働く施設、3つ目は雇用形態です。この3つを把握していれば、埋もれている「定年退職医師の積極採用求人」を見つけやすくなります。では、具体例をもとに3つの特徴についてご紹介したいと思います。
まず「働く場所」ですが、医師不足が深刻なエリアほど高待遇で積極採用している病院が増えます。関東であれば、一都三県(東京、埼玉、千葉、神奈川)すべて人口10万人に対する医師数が全国平均値より少ない状況です。一都三県であれば、都心ではなく郊外の求人募集をチェックするとより探しやすくなるでしょう。埼玉であれば秩父エリア、千葉であれば外房・東部エリアがその一例です。鳥取県にある「益田地域医療センター医師会病院」では年収1200万円〜で募集しています。また、大阪府にある「星ヶ丘医療センター」でも定年退職後ブランクがある医師も積極採用されています。ここに紹介した以外のエリアでも、地道に探してみると意外なところで定年退職後の医師を積極採用している病院を見つけることができます。
2つ目の「施設」ですが、定年退職後の医師におすすめなのは介護施設です。介護施設といっても、利用者の要介護度によって「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」と3つに分けることができます。100名の利用者に対する医師の配置基準は、「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」で1名、「介護療養型医療施設」で3名となります。
介護施設をすすめる理由は、まず介護施設数が増加傾向にあるためです。最近では、介護施設に入ることができない「待機入居希望者」が増えていることが問題になっています。介護施設の新規開設にあたり医師の招聘が急務なため、採用ニーズが高まっているといえます。
もう1つの理由は、介護施設はベテラン医師が培ってきた経験を活かせる場所だからです。例えば、介護施設で働く医師の役割の1つとして「看取りケア」が挙げられます。看取りケアは、利用者の身体的なケアだけでなく精神面にも配慮した対応が必要です。利用者と年齢が近いからこそできる配慮が、利用者の生活の質を向上させることは言うまでもありません。75歳以上の人口は2014年現在1590万人。今後その数はもっと増加するでしょう。質の高い介護を受けられるかは、ベテラン医師の再就職にかかっています。
最後に、「雇用形態」です。65歳以上となると、今までのようにフルタイムで当直も・・・という働き方は体力的に辛いものです。広島市にある「県地域保健医療推進機構」では、定年退職後の医師を医療現場で活躍してもらうための情報提供を行った結果、希望条件として多かったのは「当直なし平日勤務」というものでした。しかし、実際は病院の採用条件とあわずマッチングに苦戦しているそうです。この事例からも分かるように、当直や土日の定期非常勤求人であれば比較的早く見つけることができます。週の半分は勤務、残り半分は今までなかなか取れなかったプライベートな時間を楽しむというのが、最近のベテラン医師の働き方になっています。
定年が間近な先生から、すでに定年を迎え日常の時間を有り余らせている医師におすすめの求人をご紹介します。
もちろん、ここでは掲載できない求人もございますので具体的なご希望があればお気軽にお問合せください。